医師の態度や口調が、どのくらい患者さんにとって重大な意味を持つか、あらためて実感するような体験をしたので、聞いてください。
母が喉頭蓋炎になりました。自宅にあった抗生剤を飲むようにと渡していたのですが、自宅では喉頭ファイバーもできないので、自宅の近くに昨年開院した、女性医師の耳鼻科診療所に診てもらうことにしました。紹介状というほどではありませんが、お願いの手紙を書いて私の名刺と一緒に持たせました。
午後3時半からすぐに診察してもらえたようで、4時前に母から電話。喉頭浮腫を起こしていて、窒息の可能性もあるので、入院した方がいいと言われた、と。家にいてると、息子の世話で休養もできない母ですから、私もそのほうがいいと判断し、先生におまかせするように、と電話を切りました。とてもいい先生で、活気のある診療所で、ちゃんと説明を受けられて、受診してよかった、とうれしそうな口調の母でした。
水曜日の午後4時ですから、入院受け入れの病院を探すのに苦労されたようですが、ある病院が受け入れてくれる、と4時20分ごろに母はいったん帰宅しました。全国に病院を持つ、ちょっと公立のようなイメージのある、救急や災害の中枢となる大組織の病院で、家からもさほど遠くない場所にあります。ネットで見ると常勤の耳鼻科の先生が二人おられるとのことでした。
夕方に待機してくれいるのだから、と母を急かし、寝間着やら湯のみやらをかばんにつめて家をでようとした4時50分頃に、早く来るようにと、催促の電話がかかり、あたふたと母はでかけました。
6時過ぎに母から電話。待っていてくれた女性医師が、えらくご立腹とのこと。4時から1時間以上も待っている、といわれ、入院などとは聞いていない、とのこと。行き違いがあったのかもしれません。もし入院でないのだったら、母ももっと早くに行くこともできたのに、と悔やまれます。そして、そこの病院を紹介してくれた近所の開業医の女性医師のことを、直接には知らない先生だから、と言ったそうです。そんなこと、患者=私の母に、何の関係がありましょう。
救急の中枢でもある、大組織の病院です。紹介した医師と直接面識があるかどうかなどということが影響するだなんて、私も、多分他の医師も思わないでしょう。その病院でなくても、紹介医との親密度で扱いが違う病院なんて、少なくとも表向きには私は知りません。
平日の夕方にお待たせしてしまったことは、申し訳なく思います。同じような経験で、予定をキャンセルしたり、遅刻したりした経験は私にも多々あるので、その怒りは理解できなくはありません。ですが、それは何か患者さんに責任のあることでしょうか?予定が完全に没になることすらある、私たちはそういう仕事をしているのだから。
結局、入院の必要なし、というご判断で、点滴だけしてもらって、午後9時前に疲れきった母は帰宅しました。その病院では翌日は点滴できないので、家の近くの別の病院に行くように、という紹介状をもらってきていました。翌日の木曜日がその大病院の耳鼻科の手術日だから、ということでしょうが、外来の点滴だけだったら、その医師がいなくてもできるはずです。そう思いましたが母には話しませんでした。
この日、母は、朝からかかりつけの内科も受診していたので、発熱した75歳の身体で、何軒もの病院をまわった1日になりました。私が何とかしてあげればよかったのです。こんな可哀想なことになって。
おかげさまで母は順調に回復しています。翌日受診した病院の耳鼻科の先生は、とても優しく接してくださったようで、こういう経験をした後の母には、本当にありがたいことでした。
この全国組織の病院の女性医師には、3つの罪があります。
・患者を不安にさせたこと
・紹介してくれた開業医の面目をつぶしたこと
・自分の勤務する病院の評判と品位をさげたこと
同業者として、肝に銘じます。他山の石とできるように。