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むつみ先生奮闘記

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胡桃の部屋

夏休みを利用して、久しぶりに、多分20年以上ぶりに、向田邦子さんを乱読しました。以前に読んだのは、たぶん高校生のころだったと思います。私の母が好きで読んでいたので、何となく手にしてみたら面白くて、ほとんど全部読んだと記憶しています。

高校時代、ちょっとだけ登校拒否になった時がありました。心が少しすさんでいて、授業をさぼって怠けてしまったら、勉強も遅れてしまい、クラスメートともぎくしゃくして、学校に行きにくくなりました。その時、親友が、何でもいいから教室に来て座っていろ!と強く言ってくれて、すねた態度で教室にもどり、授業も聞かずに本ばかり読んでいた頃です。大江健三郎さんが好きだったのですが、彼ばかりでは読むのがしんどいので、沢木耕太郎さんや、五木寛之さんや、中学から愛読していた夏目漱石や、開口健さんや、椎名誠さんや、村上龍さん、などなど。その中で数少ない女性の小説が向田邦子作でした。(今は女流作家のほうをよく読むのですが)

その頃、きっと彼女の小説の中にある小さな哀しみと、それを背負って生きて行く人、みたいな感じが好きだったのだと思います。人生のほろ苦さみたいなものを感じていたような気がします。

最近、NHKで松下奈緒さん主演で向田邦子さんの「胡桃の部屋」がドラマ化されたのを観て、もう一度読んでみたわけです。自分が覚えていた話とちょっと違うな、と思ったので。いろいろ読んでみたら、原作の胡桃の部屋からはかなり脚色されていますが、その脚色部分に他の小説やエッセイからの引用だったんだ、とわかった部分が多く、脚本を書いた人がかなりの向田ファンなのだなと気づきました。(しかし松下奈緒は芝居がうまくなりませんね〜)

久しぶりに読んでみたら、すねた高校生だった私は、自分が十分大人だと思っていたのに、ちっとも人生の苦さなどわかっていなかったんだな、ということに気づきました。ひとつひとつの小さなお話から受け止められるものは、昔より今の方がずっと多い、と気づきました。大人になるのも悪くないものですね。
by horii-ent | 2011-10-25 23:57 | 映画、本
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堀井耳鼻咽喉科の女性医師の毎日を紹介


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